中国市場で「バズった商品」が二度と売れない構造的理由

中国市場への展開において、一時のバズにより飛ぶように売れた商品がバズ以降「一切」売れなくなる現象はしばしば発生します。

この特徴として挙げられる点は、特定の色、味、種類など1SKU「のみ」が単発で消費され、他のバリエーションに波及しない異様な売れ方をします。そして日常生活には全く浸透せず、人気がなくなり「そんな商品あったね」で終わるケースです。

このように不要な値下げ合戦に巻き込まれた商品は、その「商品価値自体」が構造的に低下してしまいます。本記事では、一過性のブームがもたらす市場のバグから見られる、不要な値下げ合戦に巻き込まれない「強い商品価値とは」を論理的に考察します。

「バズ」がもたらす価格の初期化と競争

なぜ、一度売れた商品の価値が下がるのでしょうか。理由は極めて簡単です。売れたからです。

もう少し解像度を上げると、「場」が盛り上がっているからです。せどりを行っている方々は経験があると思いますが、人気のある商品はバイヤーが群がります。そして何が発生するか。

そう、価格競争です。至ってシンプルな競争です。

そして市場には過剰在庫が溢れ、必ず「投げ売り」が発生します。このブーム終了時に市場における商品の基準単価は「適正価格」から「不良在庫の処分価格」へと強制的に書き換えられます。

一度「単価=在庫価格」として判断された商品は、市場全体で「終わった商品」という共通認識を持たれてしまいます。処分価格が基準となった商品は再ヒットどころか、定価での通常販売すら難しい状態に陥ります。

「まだその商材やってるの?」となるわけです。

典型的な失敗構造:「価格を下げないと売れない」という錯覚

ここで「価格を下げなければ競合に勝てないのでは?」という疑問が生じるかもしれません。しかし、この反論に対する論理的な答えは「ノー」です。

最終消費者向けの価格競争に巻き込まれることは、典型的な失敗パターンです。売れないと意味がない、不良在庫になる。

確かにその気持ちもわかりますが、一時的な資金回収のために値下げを行うと、その商品から「利益を抜ける人」が市場から消滅します。

「場」が終わるのです。商品を取り扱わなくなる場が出来上がると、商品の寿命が終わるのです。

「最終消費者」ではなく「流通業者」の認知

中国市場で継続的なシェアを獲得するための鍵は「いかに認知されているか」に尽きます。ここで重要なのは、認知させるべき対象は流通業者です。

いいですか?もう一度言いますね。

「最終消費者」ではなく、間に入る「流通業者」にプラスの認知をされているかです。

勘違いされがちですが、一度バズった商品にとってこの点が「悪い意味で」再ヒットへの障害となります。一度価格が崩壊した商材は、流通業者にとって不良在庫リスクでしかありません。

しかし逆に言えば、メーカーの真の強みとは「現地の流通業者が、継続して利益を取れるから取り扱いたいと思える商品」を市場に提供し続けられることにあるとも言えます。

生存の論理:流通の利益をしっかりと押さえる仕組みの構築

【合理的な判断基準(生存の論理)】
リソースを持たない個人や小規模事業者が生き残るには、バズを生み出し続けるか、安定供給できる商品を提供し続けるかのどちらかです。流通業者が「継続して利幅を取れる」価格維持の仕組みを供給する側に回る必要があります。

私がこれまでの経験で感じたロジックは以下の通りです。

  • 商品自体が持っている人気よりも流通経路で期待される価値を持たせてあげること
  • その影響が市場全体が活気づくような環境になるよう整えること
  • 流通させる問屋界隈を含めた市場を盛り上げるような商品に育て上げること

このような意識が強い商品価値に繋がると考えています。メーカー、流通(問屋)、消費者の三者が、それぞれ経済的なメリットを享受できるエコシステムを構築すること。場を活性化させることが強い商品価値へと繋がります。

【実行フェーズ】「場」の適正価格を把握する物理的環境

では、流通業者が「継続して利益を抜ける」適正価格をどうやって把握するのでしょうか。ここに構造的な欠陥があります。

日本のIPアドレスから「無料の検索ツール」で探っても、現地のローカル問屋が取引している本当の「生きた価格」には辿り着けません。
中国は特有のネット検閲(金盾)により世界中のどのサイトにも簡単にアクセスできるというわけではありません。では逆もまた然りではないでしょうか。

我々外部の人間は一次情報から物理的に遮断されていると言っても過言ではありません。