越境EC総合税・送料・広告費を引いたら手元にいくら残るか|中国輸出のコスト構造を試算する
これまでの記事では、中国ECにおける広告費の壁やSNS動線の複雑さを整理してきました。今回はさらに具体的な数字の話をします。
広告費だけでも相当なコストが発生する中国ECで、税金と手数料を加えると手元にいくら残るのか。JETROのデータをもとに試算します。
「売上」と「利益」は別物である
中国の越境ECには「越境EC総合税」という税制が適用されます。通常の関税とは異なる仕組みで、商品カテゴリによって以下の税率が課されます。

- 食品・日用品・家電:9.1%
- 高級化粧品(高単価品):23.1%
- 酒類(ワインの場合):17.9%
売上の約1割から2割が税金として確定で消えます。これにプラットフォームの手数料、国際送料、広告費が加わります。
日本で1,000円の商品を中国で売った場合の試算
市場データによると、中国での適正販売価格は日本の小売価格の1.15倍〜1.3倍程度が目安とされています。日本で1,000円の商品を中国で1,300円で販売するケースで考えてみます。

差額は300円です。ここから越境EC総合税(9.1%なら約118円)、国際送料、プラットフォーム手数料を引きます。さらに広告費を投じなければ商品が検索結果に表示されない構造があるため、その費用も乗せる必要があります。
計算すると、手元に残る金額は数十円、あるいはマイナスになるケースが珍しくありません。「売上が立っているのに利益が残らない」という状況が、このコスト構造から生まれます。
このコスト構造に耐えるために必要な条件
中国ECでこのコスト構造に耐えて利益を出すには、小売店から仕入れて転売するレベルでは成立しません。
メーカーから直接仕入れる正規ルートを持ち、仕入れ原価を大幅に下げることが前提条件になります。個人でも構築できる正規仕入れルートの作り方については、こちらの記事を参照してください。
「手残りの利益」で市場を選ぶ
ShopeeやeBayでは、税制の仕組みが国によって異なりますが、購入者負担が明確なケースが多く、価格設定の自由度も中国ECと比べて高い傾向があります。

売上の数字ではなく、コストを引いた後に手元に残る金額で市場を評価することが、個人セラーにとって重要な判断軸です。市場の規模よりも「自分のコスト構造で利益が出るか」を先に計算してください。ShopeeやeBayでの具体的な戦略についてはこちらの記事で整理しています。

