せどりや輸出ビジネスにおいて、誰も気づいていない「ニッチな売れ筋」を見つけた時
大抵は「よし!」と思うでしょう。むしろそれを見つけるのが仕事でもあると言って過言ではありません。

ただ、その先行者の位置は思っているよりずっと短い期間で消えていきます。

その理由は根性や努力の話ではなく、コストの構造というものにあります。

そしてもう一つ、価格の勝負そのものが始まらないことがあります。商品が検索結果にほとんど出てこないので、そもそも値段を見比べてもらえない、という状態です。台湾のShopeeに商品を並べてみると、こちらの方が先に来ました。

台湾の検索結果の上位には、何が並んでいるか

台湾のShopeeに出品する前、リサーチとしてボディタオルを検索すると、上の方に出てくるのは現地の店ばかりです。ここには共通していたものが3つありました。

1つ目は在庫の場所です。 どの店も台湾国内に在庫を持っていて、商品ページには「後天到」と出ます。明後日には届く、という意味です。

2つ目は電子發票です。 台湾では買い物のたびに電子的な領収書(電子發票)が発行されます。買い手にとっては当たり前に付いてくるもので、これが出せる店と出せない店があります。

3つ目は蝦皮優選というバッジです。 Shopeeが一定の条件を満たした店に付ける、優良店の印のようなものです。

そして一番上に出てくる店の商品ページには、これまでに売れた累計の個数(已售出)が4000個以上と表示されていました。

なお、この検索結果は日本のIPアドレスのままでは見られません。台湾のShopeeは接続元の国で表示を変えていて、日本から開くと日本向けの画面になります。現地の買い手が見ている並びを確認するには、接続元を台湾に変える必要がありました(日本のIPではShopee台湾で検索すらできない——NordVPNを越境ECの実務で使った記録)。

接続元を変えるにはVPNというサービスを使います。選ぶときの基準は、見たい国のサーバーを持っているかどうかで、台湾に対応しているものであれば何でも構いません。NordVPNもそのひとつです。

日本から出品する私のような新規店舗は、この3つをどれも持っていません。在庫は日本にあるので届くまでに日数がかかります。電子發票も出せません。バッジは実績が要るので、始めたばかりでは付きません。

同じ検索結果に並んでいるように見えて、買い手から見える情報が最初から違っています。

原価の構造が違う

コストの側も見てみます。

日本から送る側の内訳は、こうなります。

  • 日本での仕入れ
  • 国際送料
  • 関税
  • プラットフォームの手数料

現地で作って現地で売る店は、こうです。

  • 現地の製造原価
  • 現地の国内送料

並べると、同じジャンルの商品では価格だけでは勝てない形になっていることが分かります。また日本でも買える同一商品の場合も同様で、流通の利益を考えず原価と売値の差引だけで販売を行っている相手とは競り合う前提が違います。

日本でも販売している日本製同一銘柄商品の実際の数字でも比べてみましょう。

台湾のボディタオルの主戦場はNT$119から139のあたりで、NT$139は639円ほどです。ここから出ていくものを並べると、Shopeeの販売手数料が12.75%、売上を受け取るための海外送金サービス(Payoneer)の出金手数料が2%で、合わせて94円。国際送料が169円。日本国内で倉庫まで送る送料が520円です。

合計783円。売価が639円ですから、商品の代金を1円も乗せない状態で、すでに144円のマイナスです。

商品代を乗せる前の段階で赤字になっている、というのが台湾のボディタオルの価格帯の実際でした。この内訳をどう出したかはShopee(台湾)に出品した際の費用|国内送料・SLS・手数料・重量帯を実測[2026年]に置いてあります。

ちなみにここに書いた手数料は、売れたあとに引かれるものだけです。売上が実際に手元の口座に入るまでには、これとは別に引かれるものと手続きがあります(越境ECの入金は思いのほか減る件|海外送金の受取手数料と事業用の口座を分ける話)。

価格の前に、検索結果に出てこない

ここまでは価格の話です。赤字が出ているとはいえ、採算が取れる見込みがあるからこそ出品を行います。オープニングセールで価格を低くし、集客を行い徐々に高単価商品に繋げるという案もありました。

ところが実際に出品してみると、その価格の勝負が始まりませんでした。

商品を公開してから7日間、外部からの訪問者はゼロです。検索結果に商品が表示された回数もゼロでした。

8日目にはじめて、検索から商品が5回表示され、そのうち1回がクリックされました。

ただ、そこから先が続きません。続く6日間で表示されたのは、合計で4回です。1回も表示されない日が2日ありました。クリックはゼロです。

公開から2週間で、検索結果に出たのが合計9回。クリックが1回。いまのところ、これで全部です。

この数字を読む前に、前提を2つ添えておきます。

1つ目は、公開直後は露出が優遇されているということです。 Shopeeの商品診断には、新しい商品は90日間表示の機会が増える、と書かれていました。つまり下駄を履いた状態での、この回数です。

2つ目は、クリックされる率を語れる段階に無いということです。 8日目だけを取れば5回表示されて1回クリックされていますが、続く6日間は4回表示されてゼロです。どちらの数字も、少なすぎて何かを言える母数ではありません。

言えるのは、画像やタイトルや値段を見比べた上で選ばれなかったのではなく、そもそも見られる回数が1日1回に届いていない、ということの方です。

価格を下げても、表示されていないものは見られません。オープニングセールも何も、始まりさえしていないということです。

売れない理由を価格に求める前に、見られているかどうかを先に見る必要がありそうです。

守るものがない場所では、利益は薄くなっていく

経済学に、誰でも参入できる市場では超過利潤がゼロに近づく、という考え方があります。

これを物販に置き換えると、誰でも仕入れられる商品を売っている限り、同じことをする人が増えて利益が削られていく、ということになります。

現地の店にとって、日本から出品している個人は敵というより、市場の需要を先に試してくれる存在に近いのだろうと思います。売れているという結果が出てから参入する方が、リスクが小さくて済むからです。

真似されたこと自体を責めても、状況は動きません。真似できない要素を持っていなかった、という設計の話に戻ってきます。

商標や独占契約のような、他の人が同じものを用意できない要素。あるいは価格以外で選ばれる理由。そのどちらも無い状態で商品を並べたなら、置き換えられるのは時間の問題になります。

商標については、扱おうとしている商品が誰かに押さえられていないかを先に調べておく方法があります(中国で商標を先に取られる仕組み|越境ECセラーが出品前に確認すべきこと)。

いま持っているものを見てみる

3つだけ挙げます。

  1. 他の人が簡単には真似できない要素を、1つでも持っているか
  2. 価格以外の理由で選ばれる仕組みがあるか
  3. いま売れている商品が真似されたときに、次の商品の準備が進んでいるか

いいえが多いほど、置き換えられたときに戻る場所が少なくなります。

ここが弱くても商売が成り立つ時期はありますが、それは競合が来ていないだけ、ということが多いように思います。

まとめ

台湾のShopeeに実際に商品を並べてみて、順番が思っていたのと違っていました。

価格で負ける以前に、そもそも検索結果に出てきません。そして検索結果に出る回数を増やす手前には、在庫の場所や、実績や、現地の買い手にとって当たり前に付いてくるものが並んでいます。

商品の良さだけを持って行っても、この順番は変わりません。

アジア圏では、店頭で売られている価格に大きな差はありません(「海外なら高く売れる」は成立しない|台湾の実売価格と日本の小売価格を並べて分かったこと)。海外は日本の市場の延長にあって、場所を変えただけで何かが劇的に変わることは、あまり起きないように思います。付加価値を主張できない商品を海外に持って行くのは、やはり難しいところがあります。


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