いざ法人口座を作るとなった際、最初にあたる壁は「どの銀行を選べばよいのか」ではないでしょうか。
都市銀行(メガバンク)や地方銀行、信用金庫にネット銀行と、選択肢は無数にあると思います。

そこでまず思いつくのが、現在自分が口座を持っている銀行で開設するということ。
これが最も実行しやすいファーストステップだと思います。

ただ、法人口座は1つの銀行にまとめなくても構いません。
最初の口座をどこで開くにしても、ネット銀行は所有しておくべき一つだと考えています。
なぜなら、その最大のメリットが振込手数料の安さにあるからです。

都市銀行の場合、たとえば三菱UFJ銀行の法人口座では、ATMからキャッシュカードで他行宛(別の銀行の口座宛)に振り込むと1件770円です。
また法人口座をネットバンキングで使う場合は、三菱UFJ銀行に限らず月額の基本料金がかかることが多いです。
比べてネット銀行はそもそもがネットなので、ネットバンキングを使うための月額料金がかかりません。
これは大きなメリットと言えます。

主なネット銀行の振込手数料について差はあまりありませんが、店舗を構えている銀行(実店舗型の銀行)との差となると地味に変わってきます。

今回は実店舗型の銀行とネット銀行のメリット・デメリットを確認しながら、ネット銀行として代表的な楽天銀行・GMOあおぞらネット銀行・ラクスルバンク・ドコモSMTBネット銀行・PayPay銀行の5行について、法人口座の振込手数料や口座維持手数料を比べていきたいと思います。(各行の公式サイト:2026年10月時点)

結論|実店舗型の銀行との差は月に数千円、ネット銀行同士の差は月に数百円

別の銀行の口座へ振り込むときの手数料(他行宛の振込手数料)は、今回のネット銀行5行では1件100円から229円です。
口座を持っているだけでかかる口座維持手数料は5行ともかかりません。

実店舗型の銀行の例として三菱UFJ銀行の法人向けネットバンキングを見ると、他行宛の振込手数料は1件484円から660円です。
また、これとは別に月額1,760円からの基本料金がかかります。

3万円以上の振込を他行宛に月5件行う会社であれば、振込手数料だけでもネット銀行との差は月に2,000円を超えることとなります。
基本料金まで合わせると、差は月に3,900円から4,600円ほどです。

一方でネット銀行同士を比較してみると、1件あたり最大で129円の手数料の差となります。
これも同じく月5件を振り込む場合、差が一番開く組み合わせでも月に645円となります。

振込と日々の支払いに使う口座としては、法人口座はネット銀行だけでも十分足りると思います。

実店舗型の銀行とネット銀行の違い|振込手数料とネットバンキングの月額料金

まず、1件あたりの振込手数料です。
三菱UFJ銀行の法人口座から他行宛に振り込むときの手数料を、振り込む方法ごとに並べました。(三菱UFJ銀行の公式サイト:2026年10月時点。金額は税込・1件あたり)

振り込む方法他行宛の振込手数料
窓口990円
ATM(現金)880円
ATM(キャッシュカード)770円
法人向けネットバンキング「BizSTATION(ビズステーション)」3万円未満484円・3万円以上660円
(参考)ネット銀行5行100円〜229円

実店舗型の銀行でも、ネットバンキングから振り込めば窓口やATMより安くなります。
それでも、ネット銀行5行の100円から229円とは1件あたり数百円の開きがあります。

窓口やATMの振込手数料は、ここ数年で上がってきています。
三菱UFJ銀行は2023年10月に、りそなグループの4行は2025年4月に、窓口から他行宛に振り込むときの手数料を990円に改定しました。
ネットバンキングからの振込手数料は、どちらも据え置かれています。

次に、ネットバンキングを使うための月額料金です。
三菱UFJ銀行のBizSTATIONは、月額1,760円からの基本料金がかかります。
三井住友銀行の法人向けネットバンキング「Web21」は、デビュータイプで月額2,200円です。(三井住友銀行の公式サイト:2026年10月時点)

Web21には月額無料のライトタイプというものもあります。
他行宛の振込手数料も3万円未満で165円、3万円以上で330円と安いのですが、入出金明細をCSVで出力できないなど一部の機能が制限されているので、今回の比較からは外しています。

ネット銀行5行は、口座維持手数料もネットバンキングの月額料金もかかりません。

最後に、月にいくらの差になるかです。
口座から出ていくお金は、カードの支払いや家賃、光熱費といった毎月の決まった支払いがほとんどで、それぞれ月に1回ずつだと思います。
商品の発注が重なった月は振込回数が増える、といった感じでしょうか。

口座からの引き落としで払うものには、もちろん振込手数料はかかりません。
なので振込手数料を比べるときは、1件あたりの金額よりも先に「自分で振り込むのは月に何回か」を数えてみると、銀行ごとの差が実際の金額で見えてくると思います。

たとえば3万円以上の振込を他行宛に月5件行う場合、三菱UFJ銀行のBizSTATIONでは振込手数料が660円×5件で3,300円、基本料金と合わせて月に5,060円です。
他行宛が100円のネット銀行なら、月に500円で済みます。

振込が月に数回でも、実店舗型の銀行とネット銀行とでは毎月の費用に数千円の差が出ることになります。

ネット銀行の法人口座のデメリット|店舗がないことと取引先からの見え方

手数料ではネット銀行のほうが安いと分かっても、ネット銀行の法人口座だけで事業のお金を扱って困ることはないのか、気になる方もいると思います。

デメリットとして挙がりやすいのは、店舗がないことです。
手続きで来店を求められることがない代わりに、窓口で相談することもできません。
問い合わせや手続きは、ネットか電話、メールおよび郵送で進めることになります。
楽天銀行の法人口座を開いたときも、やりとりは全てメールや郵送で完結し、来店を求められることはありませんでした。

海外からの売上の受け取りに関しては、デメリットにはなりにくいと思います。

Shopeeの売上は、Payoneer(ペイオニア)という海外の送金サービスを通して、国内の振込として届きます。
そのため、ネット銀行の口座だから受け取れない、ということはありません。

ただし、海外の取引先から直接送金してもらう場合だけは銀行によって扱いが分かれます。
(ネット銀行の法人口座で海外送金は受け取れるか|楽天・GMOあおぞら・PayPay・ドコモSMTB)

もう1つ、デメリット?となるかどうかはわかりませんが、取引先からの見え方は少し気になるところです。

取引の際に都市銀行の口座があれば先方の安心につながるのではないかなと勝手に思っています。
厳密には何の証明にもなりませんが、無意識下では「ちゃんとした会社です」と思って欲しいのかもしれません。
無いよりもあった方が安心して貰えるならそれに越したことはありませんしね。

ただ、これは必要というより個人のこだわりの範囲だと思います。
どうしても窓口で相談しなければならない事情さえなければ、振込と支払い、海外からの売上の受け取りまで、ネット銀行だけで足りると思います。

ネット銀行5行の法人口座|振込手数料の比較と各行の特徴

ここからはネット銀行同士の比較です。
5行の法人口座を表にまとめました。(各行の公式サイト:2026年10月時点。金額は税込・1件あたり)

銀行同じ銀行宛の振込他行宛の振込口座維持手数料申し込みから使えるまで
楽天銀行52円3万円未満150円・3万円以上229円かからない申込書と必要書類を郵送(日数の公表なし)
GMOあおぞらネット銀行無料100円かからない最短即日
ラクスルバンク無料(GMOあおぞらネット銀行宛)119円かからない最短当日
ドコモSMTBネット銀行無料100円かからない最短翌日
PayPay銀行無料145円かからない最短当日

「最短」の日数は、どの銀行も条件を満たした場合のものです。
審査の状況によっては、これより日数がかかることがあります。

他行宛の振込手数料は100円から229円の間に収まっていて、口座維持手数料はどの銀行もかかりません。
手数料だけで見ると大きな差はないので、各行の特徴を順に並べていきます。

楽天銀行|他行宛は150円と229円、楽天銀行宛にも52円

楽天銀行の法人口座(法人ビジネス口座)は、楽天銀行宛の振込が52円、他行宛は3万円未満で150円、3万円以上で229円です。
この金額は2021年10月から変わっていません。

5行の中では、他行宛の手数料は高いほうになります。
同じ銀行宛の振込に手数料がかかるのも、5行では楽天銀行だけです。

一方で、海外の取引先からの送金を直接受け取れる銀行の1つでもあります。

GMOあおぞらネット銀行|他行宛は100円、新しく開いた法人は振込手数料が無料になる

GMOあおぞらネット銀行の法人口座は、GMOあおぞらネット銀行宛の振込が無料、他行宛は1件100円です。
他行宛の手数料は、2026年8月17日に130円から100円へ引き下げられました。

新しく口座を開く法人向けの特典もあります。
2026年8月17日から11月30日までに申し込みと開設を済ませた法人は、他行宛の振込手数料が月100回まで、3か月間無料になります。
設立から1年未満の法人であれば、設立した月から12か月間は月20回まで無料です。

ラクスルバンク|GMOあおぞらネット銀行の支店、ラクスルのポイントが付く

ラクスルバンクは、ラクスル(印刷や集客支援のサービス)のグループ会社が出している法人向けの銀行サービスです。
口座そのものは、GMOあおぞらネット銀行の「ラクスルバンク支店」に開かれます。

振込手数料は、GMOあおぞらネット銀行宛が無料、他行宛が1件119円です。(2026年8月17日現在の金額です。)
GMOあおぞらネット銀行の通常の法人口座は他行宛が100円なので、ラクスルバンクのほうが1件あたり19円高くなります。

その代わり、ラクスルバンクでの支払いやデビットカードの利用に対して、ラクスルのサービスで使えるポイントが2.0%付きます。(一部の利用は対象外です。)
GMOあおぞらネット銀行が通常の法人口座に出している特典(新規開設の振込手数料無料など)は、ラクスルバンクの口座には付きません。

申し込めるのは法人だけで、個人事業主は申し込めません。
GMOあおぞらネット銀行の口座を既に持っている法人でも、別に開くことができます。

印刷物や販促物をラクスルで頼んでいる会社であれば、支払いのたびにポイントが付くぶん、合う口座だと思います。

ドコモSMTBネット銀行|他行宛は金額に関わらず100円

ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)の法人口座は、ドコモSMTBネット銀行宛の振込が無料、他行宛は振込金額に関わらず1件100円です。
他行宛の100円は2026年10月1日からの金額で、9月までは通常145円でした。

口座維持手数料に加えて、ネットバンキングの利用料もかかりません。
なお、複数の振込をまとめて行う「総合振込」を使う場合は、他行宛が1件145円です。

PayPay銀行|他行宛は145円、口座を開いてしばらくは月5回まで無料

PayPay銀行の法人口座は、PayPay銀行宛の振込が無料、他行宛は1件145円です。(2025年5月26日現在の金額として案内されています。)
口座を開いた月の翌々月末までは、他行宛の振込手数料が毎月5回まで無料になります。

5行を並べてみると、他行宛の振込手数料の差は1件あたり最大で129円でした。
銀行ごとの違いは、新しく口座を開く法人向けの特典やラクスルのポイントのように、手数料以外のところに出ています。

まとめ|選択肢はネット銀行ベースとなる

ネット銀行5行の法人口座は、他行宛の振込手数料が1件100円から229円で、口座維持手数料はどこもかかりません。

実店舗型の銀行との差異、つまり振込手数料とネットバンキングの月額料金を合わせると、振込が月に数回でも毎月の費用に数千円の差が出ます。
法人口座の選択肢は、ネット銀行がベースになると思います。

ネット銀行同士では、振込が月に数回であれば、どの銀行を選んでも差は月に数百円です。
違いが出るのは、新しく口座を開く法人向けの特典と、ラクスルのポイントのように自社が使っているサービスと合うかどうかです。

実はネット銀行の振込手数料は、2026年に入ってから引き下げが続いています。(GMOあおぞらネット銀行は8月、ドコモSMTBネット銀行は10月に改定されました。)
念のため、申し込む前に各行の公式サイトで最新の金額を確認していただけると確実です。

海外の取引先から直接代金を受け取る予定がある場合は、こちらも合わせてご覧下さい。
(ネット銀行の法人口座で海外送金は受け取れるか|楽天・GMOあおぞら・PayPay・ドコモSMTB)

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