これまでの記事では、
日本企業の対中投資が3年間で約7割減少しているデータ中国企業と日本企業の意思決定スピードの格差について解説しました。

今回はその続きとして、同じJETROデータの中に記録されている「逆方向の動き」を取り上げます。

中国市場から撤退する日本企業と投資を拡大するドイツ企業の対比

逃げる日本、投資を増やすドイツ

2023年、日本の対中直接投資額は前年比15.3%減少しました。しかし同じ時期に、米国・英国の投資額は前年比で増加しています。さらにドイツ企業に至っては、半数以上が今後2年以内の投資拡大を計画しているとJETROのレポートは記録しています。

なぜ欧米企業は逃げないのか。答えは彼らの中国市場への「見方」が根本的に違うからです。

中国を「工場」ではなく「実験場」として見るロジック

ドイツ企業の投資先を見ると、「工場の拡張」ではありません。研究開発(R&D)や自動化・DX化に資金を投じています。

彼らのロジックはこうです。「中国は世界で最も競争が激しく、変化が速い市場だ。ここで製品を磨けば、世界のどこでも通用するものができる」——中国を「安く作る場所」としてではなく、「最強の競合と戦ってレベルを上げる場所」として捉えているのです。

翻って日本企業の多くは「安く仕入れて売る」という旧来のモデルで中国に向き合い続けました。そのモデルが機能しなくなった今、出口を失っている構図があります。

「守り」だけでは生き残れない、「攻め」だけでも消える

もちろん、中国市場にはリスクがあります。
知的財産の問題、地政学的なリスク、規制の変化。これらを無視して参入することは無謀です。

JETROのレポートはこの点についても明確に述べています。リスクをコントロールしながら守りを固め、同時に中国拠点が担う役割を最大限発揮できる体制を整える攻めの姿勢——この両立が喫緊の課題だと指摘しています。

中国市場をイノベーションの実験場として活用する最先端の研究開発イメージ

個人セラーにとっても構造は同じです。アカウントリスクへの備えなしに参入するのは論外ですが、リスクを恐れて動きを止めることも正解ではありません。越境ECで長期的に生き残るセラーがどのようにリスク管理をしているかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

結論:最強の競合がいる場所こそ、最強の市場である

中国市場のフェーズは変わりました。
「参入すれば儲かる場所」から「戦略と準備なしでは生き残れない市場」へ。これは脅威であると同時に、準備した人間にとってはチャンスでもあります。

ドイツ企業が投資を増やしているのは楽観論からではなく、データと戦略に基づいた判断です。同じ姿勢を個人レベルで実装することが、越境ECで長く利益を出し続ける条件になります。

具体的に何から始めるか。まずは正規ルートの構築です。
個人でも実現できる正規仕入れルートの作り方をあわせて読んでみてください。