「中国の人口は14億人。日本製品を並べれば売れるはず」
——この前提でビジネスを考えているなら、まず現在の中国市場のデータを確認してください。

以前の記事「日本企業の対中投資が3年間で約7割減少しているデータ」が示す通り、中国市場はすでに「参入すれば稼げる場所」ではなくなっています。
今回はその理由をさらに掘り下げます。

ネットユーザーの4割がライブコマースを使う市場の現実

JETROの調査によれば、中国のライブコマース市場規模は2020年時点で約1兆2,299億元(当時のレートで約22兆円)に達し、2025年には約6兆4,172億元(約100兆円規模)まで拡大すると予測されています。
アリババ(Tmall)やJD.comといった既存プラットフォームに対して、Douyin(TikTok)やKuaishouが猛烈な勢いでシェアを奪っている構図です。

これが意味することは明確です。
今の中国でモノを売るということ=スペックを並べることではありません。
演者がリアルタイムで視聴者を熱狂させるエンターテインメントを提供することが、販売の前提条件になっているのです。

言語の壁があり、現地インフルエンサー(KOL)とのタイアップを取れる資金のない個人が、静止画と翻訳テキストだけで戦える場所はもう現在の中国市場にはほぼ存在しないと言って過言ではありません。

個人プレイヤーが中国市場を避けるべき理由でも述べた内容は、この市場構造そのものにあります。

「とりあえず出品」の先に待つ商標リスク

中国市場を支配するライブコマースとインフルエンサーの撮影風景

「ライブコマースは無理でも地道に出品すれば・・・」と考える方もいるかもしれません。
しかしそこにも構造的な問題があります。

その構造的な問題というのが一般貿易と越境ECの扱いの差です。
一般貿易は中国商標と中国語ラベルが必須となりますが、実店舗への卸や自由な価格設定を行うことが可能です。
一方、越境ECの直送はあくまでインバウンド消費の延長という位置づけとして判断されがちであり、ざっくり言うと本格的な商売と判断されにくい位置付けといえます。つまり、正規のルートを取っていない=トラブルの際に不利になるというリスクを抱えていることとなります。

ここで、さらに深刻となりがちなのが商標の問題です。
日本の商標だけで越境ECを始めた結果、中国国内で第三者に商標を先に取得されてビジネスが継続不能になった事例が報告されています。自社商品でトラブルのならまだしも、横流しで勝手に進んだ場合ほぼほぼ納得のできる解決には至らないでしょう。
このような権利問題に起因するリスクについては、こちらの記事「越境ECで販路を失う前に知っておきたい物流リスク」も参考にしてみて下さい。

個人が戦うべきは「ロジックが通用する市場」である

ShopeeやeBayでデータとロジックを武器に戦う個人の戦略

中国市場での戦いには、商標登録・現地法規制のクリア・ライブ配信でのエンタメ提供という3つのハードルが同時に立ちはだかります。
個人のリソースでこれを並行して進めることは、費用対効果の観点から現実的ではありません。

だからこそ、ShopeeやeBayを選択肢として検討する価値があります。
これらのプラットフォームでは、中国のような過剰なエンタメ化や複雑な法規制がまだ支配的ではありません。正しいリサーチと適切なツールを使った出品という、論理的なアプローチが現時点では有効に機能します。

「レッドオーシャンの中国で巨人と戦うか」「ロジックが通用する市場で着実に利益を出すか」——データで戦場を選ぶことが、個人セラーにとって最初の重要な意思決定です。

ShopeeやeBayでの具体的な生存戦略については、こちらの記事「越境ECに参入した企業の5割が売上1%未満である理由」で詳しく解説しています。

参考:日本貿易振興機構(JETRO)「新たなEC手法として存在感を高めるライブコマース(中国)」



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