越境ECで販路を失う前に知っておきたい物流リスク|実録ケーススタディ
「やっと見つけた販路」が一瞬で消滅。注文激増の裏に潜んでいた“物流の罠”
中国貿易20年。
多くの個人セラーや業者が「海外ドリーム」を夢見て参入し、そして消えていくのを見てきました。
彼らが消えた原因。
それは「商品が売れなかったから」ではありません。
皮肉なことに「準備不足のまま、アクセルを踏んでしまったから」です。
今回は、2020年頃に中国市場で起きた「ある商品の爆発的ブーム」とその結末、そして
「物流汚染により起こりうるアカウント凍結の連鎖」をお話しします。

「売る場所がない」という悩みから解放されたはずが…
せどりをしている方なら痛いほど分かると思いますが、このビジネスで最も難しいのは「仕入れ」ではありません。
「仕入れた在庫を、利益が出る価格で捌く場所(販路)を見つけること」です。
国内のプラットフォームはライバルだらけ。
値下げ競争で疲弊し「どこか別の・・・もっと売れる場所はないか」と血眼になって探しているはずです。
かつて日本のとある日用品が中国で爆発的に売れた時期がありました。
仕入れができる業者にとってはまさに埋蔵金を発掘したような気持ちだったかと思います。
しかし取引量が急増するということは、それだけ「管理不能なリスク」も増えるということを多くの関係者は甘く見積もっていました。
「売れる場所」を見つけた安堵感が最大の隙を生んだのです。

「日本市場の常識」が通用しない世界
以前の記事(「国内転売」に見切りをつけたあなたへ)でもお話ししましたが、日本国内は「温室」です。
量販店やネット卸で買った商品に偽物が混ざっていることなどまずありません。
しかし一歩、海外への流通に乗せると話は変わります。
当時多くの卸問屋やブローカーたちが暗躍し、日本の商品は複雑怪奇なルートで取引されていました。
正規の卸から出た商品ですが港に着くと変化する(←表現を濁しています)という、メーカー自身も把握できないレベルの歪なルートが形成されていたのです。そして最終的に多大な損害を受けたのはメーカー内部の人間です。
現地のプロである中国の卸問屋ですら、この歪みを見抜けず(もしくは・・・)に
最終的に消費者が被害に遭っていたという事実です。
このような世界で個人セラーが「自分は大丈夫」と言い切れるでしょうか?

「警告」を無視した者に次はない
「自分はAmazonやeBayを使うから関係ない」
そう思っていませんか?
プラットフォームは異なりますが一例を出すと、現在タオパオやTmallといった中国の巨大プラットフォームは監視を強化しています。
最終消費者から「これ本物ですか?」という通報が入るとしましょう。
あるいはライバルが消費者を装い密告する。
すると販売しているショップへ「警告」が届きます。
「真贋を証明する書類を出してください。」
これがもしあなたのショップの話だと仮定して想像してください。
手元にある商品が「どのルートを通って来たか」を、公的な書類(メーカーの請求書等)で100%証明できますか?
量販店のレシートや、ネットショップの購入履歴では証明として認められないケースが多々あります。メーカーとの取引証明ではありませんから。。。
そして証明できなければ、待っているのは「アカウント停止(BAN)」です。
苦労して開拓した「販路」を一発で失うことになります。
これはあくまで可能性という話ではありますが、出品を取り消さないとBANは確定するので、実質その商品の取り扱いが不可になることは間違いありません。
まとめ:販路を守るための「武装」
今回の事例から分かることは、「海外の新しい販路は、在庫を捌くチャンスであると同時にアカウントを一撃で失う地雷原でもある」ということです。
在庫を捌く場所を見つけるのは本当に大変です。
だからこそ、やっと見つけたその場所を「不注意」で失うことほど愚かなことはありません。
単に商品を横流しするだけの無防備なセラーは、いずれ来るAIの網にかかって淘汰されます。
長く稼ぎ続けたいなら、売ること以上に「守ること(証明できるルート作り)」に意識を向けてください。
次回は同様に怖い話「コピー地獄」についてお話しします。
あなたが苦労して見つけた「売れる商品」が翌週には別セラーに相乗りされただの「踏み台」にされる……そんな胸糞悪い話です。
