PCに張り付いて100円単位の価格競争を続け、生き残りを図る。

プラットフォームに依存し、安いものを探して右から左へ流す「せどり」や「単純転売」は、商売の入り口としては十分に機能してきました。
しかし現在、その手法は構造的に行き詰まっていると私は考えています。

なぜか。
そこには「出口」が存在しないからです。

AIによる価格追従の仕組みや、資金力に勝る中国セラーの直接参入により、
単なる価格差だけを追い求めるビジネスは、プラットフォームへの広告費と手数料に利益を吸い上げられ続ける消耗戦になりつつあります。

今回は物販の歴史と価値の移り変わりから、次に選ぶべきステージを整理していきたいと思います。

物販の歴史が証明する「価値の移動」

時代の変化と共に進化していくビジネスモデルと価値の変遷

ビジネスの歴史を振り返ると、利益が生まれるポイントは時代ごとに移動してきたことがわかります。

  • 「場所」の時代(〜2000年代):物理的な店舗や棚を押さえている者が主な勝者でした。
  • 「仕入れ」の時代(〜2010年代):ネットの普及で場所の定義が広がり、情報の非対称性を使って安く仕入れられる者が増えました。
  • 「体験・関係性」の時代(〜2019年):フリマアプリの普及で「売る体験」自体が日常化し、誰もが個人セラーになりました。

ここからわかるのは、単純な転売で得られる利益が年々目減りしているという事実です。

参入障壁が下がり続けた結果、少しの利益で構わないという参加者が次々に増える市場になりました。現在のメルカリを見ているとその様子が顕著に現れていることがわかると思います。「手数料と発送料でトントンじゃない?」という商品、見たことありませんか?


2020年代以降、価値の軸は「誰が売るか(ブランド)」と「どう売るか(ストーリー)」へと完全に移って来ています。つまり誰でも仕入れられる商品を、誰でも出店できる場所で売ることの価値はほぼゼロであるということです。
「多売」が効かなくなってくる昨今の事情の中、多売が成立しない「薄利」でしか売れない環境というのは時代の流れでもなんでもありません。

「売る物はあるが、捌き先がない」という矛盾

信頼関係を軸にした海外パートナーシップのイメージ

自社ECサイトを構築すれば、集客コストと顧客対応に際限なくリソースを取られます。
かといって大手プラットフォームに依存すれば、アルゴリズムの変動や手数料、規約変更に振り回される日々が続きます。

この構造的な欠陥から抜け出すには、戦う土俵そのものを変えるしかありません。
「誰にでもできること」にしがみつくのをやめ、差別化された商流に資本と時間を集中させる必要があります。

生存戦略として現実的な「3つの出口」

では、論理的に考えられる次の出口とは何か。選択肢は3つに絞られますが、生存戦略として実務レベルで成立する答えは、そのうち1つだと私は考えています。

1. コミュニティ型(ファン化)

「価格」ではなく「あなたとの関係性」で買ってくれる顧客を囲い込む手法です。
属人性が極めて高く、インフルエンサー的な立ち回りが求められます。軌道に乗せるまでにまとまった時間がかかりますが、達成できれば非常に安定した仕組みになります。

ただし、当面の生存戦略という観点では優先度が高いとは言えません。

2. OEM/メーカー回帰型

他人の商品ではなく、自社プロダクトを作る手法です。
方向性としては正しく見えますが、初期ロットの製造や在庫リスクなど、先行投資の資金力勝負になります。資金ショートのリスクを抱えてまで、今すぐ選ぶべき選択肢ではないというのが私の判断です。

当時、中国市場の需要をヒアリングし、お香のOEMを行ったことがあります。しかし、ロット数をかなり多めに設定しないと単価が現実的な価格に収まらず、しかし予算は限られているため枠上限で製造を行いましたが見事に在庫を抱えました。普通にメーカーから商品を買い付ける方がずっと安定します。

また記事「個人でもできる越境ECの正規仕入れルート」のように、資金負担を抑えながら「正規」に寄せていく道はありますが、これはOEMそのものとは別の話として区別しておく必要があります。

3. 現地連動型(推奨)

やはり「輸出」です。
ただし単に商品を海の向こうへ送るのではなく、現地のKOL(インフルエンサー)や代理店など、現地の信頼ネットワークの商流に食い込ませる手法です。

「誰が売るか」というより「どこの実力者の商流に乗るか」という発想に近いものです。
自らがプラットフォームに依存するのではなく、現地で既にプラットフォームを持つ相手に相乗りする構造を選びます。記事「中国は観る場所、東南アジアが売る場所」にも記載した、市場選択の基本もこの現地連動型の考え方と地続きです。

ただし、現地のパートナーやプラットフォームと日常的にやり取りする以上、通信インフラの整備は避けて通れません。

中国をはじめとする一部の国では通信規制によってアクセスが出来なかったり、通信が安定しなかったりすることがあります。これは精神論では対処できない構造的なリスクです。
日本のIPアドレスからのアクセスだと現地の市場リサーチの際に、検索結果に差異が生じるなど必要な情報を得られない可能性もあるので、VPNはインフラとしても押さえておきたいビジネスツールであると言えます。
 →「越境EC・海外輸出に使えるVPNの選び方」に詳細を記載していますので、現地連動型の実務に落とし込む際に検討してみて下さい。

総括:気合ではなく「仕組み」で解決する

終わりのない価格競争から抜け出し新しい出口へ向かうイメージ

単純転売だけで戦い続けるモデルの寿命は、すでに尽きかけています。
「場所」から「関係性」へ、「転売」から「正規流通」へ。次の10年を生き残るのは、このパラダイムシフトに適応できた人だと私は考えています。

現地連動型のビジネスを構築する上で必要になるのは、精神論や気合ではありません。

「誰でもできること」から「差別化されたこと」への再集中です。
まず取り組むべきはパートナー探しの前段階、現地のリサーチです。誰が、どこで、どのような商品を展開しているのか。スムーズに取引できるかどうかや資金繰りの設計はその後で構いません。リサーチだけなら今すぐ誰でも始められます。

目先の作業に時間を奪われ続けている限り、価格競争のループから抜け出すことはますます難しくなります。
進むべき方向は正規流通へのアプローチです。


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